博士課程においては、専門性を深めながら、多角的な支援と情熱あふれる指導のもとで、研究者として自己成長を遂げることができました。修士課程修了後には、社会人学生としての進学という選択肢を取ることになりましたが、指導教員の先生にはオンラインでご指導いただく等、柔軟にご対応いただき、とても感謝しています。各分野の専門家である教授陣から、幅広い視点と高度な知識を学ぶ貴重な機会に恵まれ、特に苦手としていた統計分野でも丁寧な指導を受けたことで、自信をもって研究を進められるようになりました。結果として、修士論文の内容をまとめた内容が、国際誌に採択されるに至りました。また、名古屋大学の博士課程を修了された多くの方が大学教員として活躍されている姿をみて、博士課程修了まで希望をもって研究に取り組むことができました。私自身、博士課程修了後には大学教員になることができました。これから英語教育や第二言語習得の研究を志す方にとって、名古屋大学での博士課程は最適な学びの場であると、自信を持ってお伝えできます。5年間、実りのある学びをありがとうございました。(橋崎諒太郎)
第5回『言語教育研究データ分析入門』
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
共催:外国語教育メディア学会(LET)中部支部 外国語教育基礎研究部会(キソケン)
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るために企画した連続公開講座の第5回です。対面での開催です。(遠隔での中継も予定)
日時:2024年11月16日(土) 13:00〜15:30(懇親会15:50〜17:00)
会場:名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 カンファレンスホール
キャンパスマップ:https://www.nagoya-u.ac.jp/extra/map/index.html (B4-4)
教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
無料 (懇親会費は当日500円)
懇親会(会場隣室):コーヒーとお菓子をご用意する予定です。会費は500円・当日受付です。
#! プログラム
■13:00-13:10 あいさつ
■13:10 〜 14:10 第一部
「あなたにもできるGLMM ―データの準備から報告まで―」
橋崎 諒太郎(大阪経済法科大学 国際学部 助教)
外国語教育研究および第二言語習得研究で用いられる Generalized Linear Mixed-Effects Model (GLMM) という統計手法のチュートリアルを行います。GLMMに対する説明からはじめて、データの準備方法をご紹介します。その後、GLMMをどのように実行していくかを、私自身の博士論文研究を例にR言語を用いてお見せします。最後に、GLMMの実行の役に立つ書籍や論文をご紹介します。
(Rおよび R studio を事前にインストールしたPCをご持参頂くとその場で試せます。)
■14:25 〜 15:25 第二部
「発話の流暢性に関する研究入門 ―非流暢性マーカーのデータ収集・分析・解釈―」
小林 真実(名古屋大学 言語教育センター 准教授)
スピーキングおよびリスニングにおける非流暢性マーカー(ポーズ、言い直し、同じ語の繰り返しなど)に関する研究手法を紹介します。まず、発話における流暢性マーカーの定義とその種類についてお話しします。次に、流暢性マーカーを用いたデータの収集と分析の方法についてご説明します。最後に、第二言語習得におけるスピーキングおよびリスニングの研究において、流暢性マーカーがどのように使用されてきたか、具体例を交えて紹介します。
■15:25 閉会あいさつ
■15:50 〜 17:00 懇親会(会場隣室)
■参加申し込み
参加人数把握のため下記アドレスまたはQRコードから申し込みをお願いします。懇親会出欠もこちらでお願いします。申し込みと同時に受付メールが送られます。
対面での開催です。遠隔での中継も予定しています。オンライン参加希望者には参加アドレスをメールでお知らせします。
チラシ・ダウンロード
入学当初は実験やデータという言葉にすら馴染みがありませんでしたが、在学中どの先生方も研究初心者がついていけるように根気強く熱心にご指導くださいました。
また、パンデミックの最中でも自主的にオンラインミーティングを開くなど、大学院生同士お互いに励まし合い切磋琢磨でき、仲間にも恵まれた幸せな博士課程でした。
在学中には名古屋大学人文学研究科の研究助成を利用して国際学会で研究発表させていただきました。この発表がきっかけで海外ポスドクポジションのご縁があり、カナダのウィンザー大学へ研究滞在する運びとなりました。
これらのことから、英語教育学分野の第一線を牽引されている先生方の授業の質が高いことは言うまでもなく、授業を通して培った知識を糧に名大から海外へ飛び出していくことは、誰にとっても決して夢物語ではないと考えています。
アカデミアは頑張れば絶対に報われるという世界ではありませんが、少なくとも名大の英語教育学分野は頑張る人を熱心にサポートしてくださる場所だと思います。今後は自分が学生に対してサポートできるよう教員として精進してまいります。本当にありがとうございました。(生田美希)
第4回『言語教育研究でのデータ収集と分析』
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/ele/
共催:外国語教育メディア学会(LET)中部支部 外国語教育基礎研究部会(キソケン)
https://bit.ly/kisoken
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るために企画した連続公開講座の第4回です。対面での開催です。(遠隔での中継も予定)
- 教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
- 無料 (懇親会費は当日500円)
日時:2023年11月11日(土) 13:00〜15:30
(懇親会 15:50〜17:00ごろ)
会場隣室のオープンホールで懇親会を行います。コーヒーとお菓子をご用意する予定です。会費は500円・当日受付です。
#! プログラム
■13:00-13:10
あいさつ
■13:10 〜 14:10 第一部
「シャドーイング研究入門 ―あなたにもできるデータ収集と分析の方法―」
橋崎 諒太郎(名古屋大学大学院)
学習法としてのシャドーイングの研究方法を紹介します。初めに、クラス内でのシャドーイング指導の効果および、指導に影響を与える要因を明らかにするためのデータ収集と分析の方法を説明します。次に、プログラミングを用いたシャドーイング実験がどのように実施されるか、また、データ収集および分析の方法が、クラスでの指導の効果を検証する研究とどう異なるかを説明します。最後に、シャドーイング研究の実例を、講演者が実際に行った研究のデータを用いて説明します。
■14:25 〜 15:25 第二部
「英語学習振り返りデータの分析と解釈 ―利点と限界点―」
森田 光宏(広島市立大学)
学習者の学習経験を収集したものは、「学習振り返りデータ」と呼ばれ、エビデンスに基づいた教育改善の資料として活用されています。この種のデータは、豊富な示唆を与える場合もありますが、解釈が難しい結果を示すことも多いです。特に、リッカート尺度(例えば、4件法)で回答を求める場合には、大量のデータを集めることができますが、質問内容をよく吟味しないと意味のあるデータは集まりません。本講演では、講演者が関わった英語学習に関する研究から、データの収集法、分析法、そして、結果の解釈についての例を示し、英語学習振り返りデータの利点と限界点についてお話します。
■15:25 閉会あいさつ
■15:50 〜 17:00ころ
懇親会 7階オープンホール(会場隣室)
■参加申し込み
第3回『言語教育研究の手法』
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
共催:外国語教育メディア学会(LET)中部支部 外国語教育基礎研究部会(キソケン)
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るためにこの連続公開講座を企画しました。
- 教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
- 無料
日時:2022年10月22日(土) 9:55〜13:00
(オンライン懇親会 13:00〜14:00)
会場:オンライン開催
#! プログラム
■9:55-10:00
あいさつ
■10:00 〜 10:55
第一部 「Praatを用いた流暢性指標のコーディングと算出」
三上綾介(名古屋大学大学院)
外国語学習者の口頭産出能力の一つとして、流暢性が挙げられます。流暢性には多面性があり、話す速度を表すspeed fluency、ポーズの頻度と長さを表すbreakdown fluency、同じ発話の繰り返しや言い淀みなどの頻度を表すrepair fluencyの三側面に分類されます(瀧澤,2021)。中でも、speed fluencyとbreakdown fluencyの指標算出には、ミリ秒単位での時間的長さを測定するなど、音響分析が必要とされます。本発表では、音響分析ソフトのPraatを使って、speed fluency及びbreakdown fluencyの算出手順をご紹介します。
なお本発表では、Praatの基本操作からご紹介しますが、ダウンロードの方法はご説明いたしません。下記リンク内のダウンロードマニュアルをご参照の上、事前にご自身でダウンロード下さいますようお願い申し上げます。また当日使用する音声ファイルも下記リンクより、事前にダウンロードいただきますようお願い申し上げます。
【ダウンロードマニュアル・音声ファイル】
https://drive.google.com/drive/folders/1LOZkBMASE180WshDs1FFZE1ns5rLK6Bv?usp=sharing
■11:00 〜 13:00
第二部 「オープンデータを活用して行うメタ分析 ―あなたもメタアナリスト!―」
小島ますみ(岐阜市立女子短期大学)
メタ分析とは、同じテーマについて行われた研究を包括的に集め、報告されている効果量を抽出し、いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする研究手法です。外国語教育研究や応用言語学の分野でも、2000年以降メタ分析が盛んに行われてきました。それらのデータは公開されていることが多いため、それらを活用し新たな視点や最新データを加えることで、メタ分析を行うことが可能です。本講演では、OSFに公開されているUnderstanding L2 Proficiency: Theoretical and Meta-Analytic Investigationsプロジェクトのデータを使用し、 (1) 文献収集、(2) コーディング方法、(3) 効果量の統合(混合効果モデル使用)、という3つのポイントに焦点を絞り、メタ分析の手順や注意点をお話しいたします。
■13:00 〜 14:00ころまでご自由に
オンライン懇親会
Spatial chat にて開催予定
参加申し込み
人文学研究科英語教育学専攻での2年間で、言語習得や言語処理に関する理論、実験計画やリサーチ・クエスチョンの立て方、データを収集し、分析する方法について、専門的な知識や実践的なスキルを身に付けることができました。入学時から、主にオンライン環境で学習や研究に取り組むこととなりましたが、先生方による多様な手法を駆使した講義や、熱心な個別指導、院生間のコミュニケーションを通して、修士論文を中心とした研究を円滑に進めることができました。特に、第二言語習得理論についての、各々の経験に基づいたディスカッションや、オンライン教材の開発や活用に関する実習、さらに、学術論文や他の研究について批判的に分析する力は、言語学習や外国語教育以外の幅広い分野にも生かすことができると思います。さまざまな背景や経験をもつ学生や、幅広い専門分野について熱心にご指導いただける先生方にお世話になり、大変感謝しております。 (広瀬八重子)
第2回『言語教育研究の実際』
主催:名古屋大学大学院人文学研究科 英語教育学分野
データの世紀といわれる21世紀、言語教育研究はどのような方向に進むのでしょうか。私たちは英語教育や第二言語習得に関する専門的な知識、コンピュータを使った実験ツールや教材開発のプログラミング、そしてデータの統計的分析やモデリングなど新しい時代に必要な技能と知識をそなえた人材の育成が使命と考えています。言語教育研究の現在を見据え、その未来を探るためにこの連続公開講座を企画しました。
- 教員、学生、一般の方どなたでも参加できます。
- 無料
日時:2021年11月6日(土) 9:55〜13:00
(オンライン懇親会 13:00〜14:00)
会場:オンライン開催
プログラム
9:55-10:00
あいさつ
10:00 〜 10:55
第一部 第二言語習得研究の始め方 ― 大学院入学から国際誌掲載までの3年間を振り返って ―
寺井雅人(名古屋大学大学院)
修士論文執筆、そしてそれがStudies in Second Language Acquisitionに掲載されるまでの経緯をお話します。掲載論文の内容だけでなく、掲載までの過程でど のような課題が存在し、それをどのように克服したのかを大学院生の目線から紹 介させていただきます。
11:00 〜 13:00
第二部 一般化線形混合モデルの実践 ― 気をつけたい三つのポイント ―
田村祐(関西大学)
本講演は,2014年12月にNagoya.Rというイベントで発表した内容(https://www.slideshare.net/yutamura1/ss-42303827)の改訂版という位置づけです。一般化線形混合モデルによる分析は普及がかなり進んだ一方で,まだまだそれを理解して使用するハードルは下がったとは言えません。そこで,今回は(1) 分析の方法,(2) 分析結果の報告,(3) 再現性の確保,という3つのポイントに焦点を絞り,実際に研究でこの分析手法を使う際に気をつけるべきことをお話します。
13:00 〜 14:00ころまでご自由に
オンライン懇親会
Spatial chat にて開催
参加申し込み
参加受付:https://forms.gle/Ez4GmQC2JpS4j2R49
★英語教育学専門の博士前期課程を修了しました、橋崎と申します。英語教育学コースを修了して感じたのは、授業の質が高いこと、また研究科の先生方のサポートが手厚いということでした。授業は、ありがちな受け身な知識を詰め込むものではなく、自らの計画を発表し、ほかの学生の発表に対する意見をする能動的なものが主でした。また、プログラミングや統計など、一般企業に就職したとしても活かせるような、実用的な授業も多くありました。指導教員となっていただいた先生は、親切かつ熱心に指導をしてくださり、指導教員以外の先生方も嫌な顔一つせず質問や相談に乗って下さいました。2年間という短い期間でしたが、英語能力、論理的思考能力、統計能力などの多様なスキルが身につき、今後の人生に役に立つとても有意義な経験ができました。(橋崎諒太郎)
★長いようでとても短い2年間だったように思います。入学当初は、わからないことがたくさんあり、戸惑うことがありましたが、同期と支え合う中で学びを深めることができました。また、英語教育について、先生方や先輩方をはじめとする仲間たちと議論し合いながら、お互いを高め合うことができた2年間だと感じました。
研究では、自分が苦手な統計分析を先輩が熱心に教えてくださったことや、先生に研究の相談に乗っていただいたことも、とても印象に残っています。
大変なことのほうが多い2年間ではありましたが、とても充実した2年間でした。(岡本実希)
★英語教育学分野の博士前期課程の在学期間中は、今までの人生で一番幸せで充実した期間でした。第二言語習得研究の知識だけではなく、研究のために、統計学やプログラミングを勉強した経験は、これからの人生でも非常に役に立つと思います。英語教育学分野の先生は、知識が豊富で、学生に対してとても優しくて、細かいところまで研究の指導してくださいました。授業の合間や基礎研などで、いつも先輩や同輩と議論し合っていました。相談にもよく乗っていただきました。M2に入って、コロナ禍でも、ZoomとSlackと通じて、先生や先輩たち気軽に連絡ができ、授業の質は一切落ちませんでした。とても貴重な経験だと思っています。ありがとうございました。(張瓊支)